帰省・車運転
大学は実家からはるか遠くの町だったので帰省するのは夏休みと冬休み、まれに春休みの年3回程度でした。学生の身でしたから、出来るだけ交通費を浮かせたく帰省する時は夜行急行で一晩かけて移動していました。余談ですが当時は周遊券という券があって、これだと目的地域周辺を含めて普通・急行が一定期間乗り放題の超お得な乗車券が発売されていました(特急は別料金が必要です)。
私の実家はJR駅からかなり離れた内陸にありましたが、当時父親は小売り魚屋を経営していたので毎朝自宅から50Km位離れた港町の魚市場に魚を仕入れに来ていました。夜行急行は明け方に丁度その駅に着くので、帰省する際はいつも父親にピックアップしてもらっていました。
父親は魚の仕入れ用に軽トラックを使用しています。仕入れた魚は後ろの荷台に積んで、その上に幌を被せて更に幌がバタつかないようにきつくロープで縛って走ります。父親は僕に「家まで運転しろ」と言って、僕は自分のバックを魚箱と共に荷台に置き自宅まで僕が運転です。
朝、明け方、さらに田舎の道ですから渋滞がある訳でもなく、さらに父親は安全運転に徹していましたから、父親が横で座っている時は僕も制限速度は守って運転していました。丁度、自宅との中間地点に来た頃、田んぼの中の見晴らしの良いバイパス道路を走っている時に、突然後ろからパトカーが来て
(警察)その車止まりなさい!
(僕)え、何で? 制限速度守っているし一時停止も無いよ!
(父親)まあ良いから停まれ。
(僕)⇒車を止めて窓を開ける。
(警察)免許証出して。
(僕)ポケット、財布・・無い、無い、免許証が無い! あ、落としたらまずいと思って荷台に積んだバックに入れてたんだ。荷台のバックの中にあるんですが・・。
(警察)出して!
(僕)幌もロープも全部解かなきゃいけないんですが・・。
(警察)解いて!
(僕)車を降りて幌を止めていたロープをほどき、幌をどかしてバックを取り出す。この時、不覚にも荷台の奥側にバックを入れていたので幌をほとんど全開しなければいけませんでした。バックを取り出し、免許証を見せる。
(警察)あ、良いよ。
で、一言でパトカーは去って行ってしまいました。
僕は額に汗びっしょりです。このような時は緊張しますよね。何も悪いことしていないのに、自分が何か悪い事をしてしまったような気になってしまいます。焦って最初は荷台に置いたバックの位置を勘違いして「最初はバックが無い!」とまで思ってしまいました。
他の人から・・?
全てが終わってから僕が運転を再開。
(父親)お前が荷台の幌を外している時、通り過ぎる車の人が、皆、疑い深そうにじろじろこっちを見ていったよ。と、話しました。 僕はてっきり叱られると思ったのですが、父親は面白そうにこの事を話し、少し楽しんでた模様です。
(僕)はたから見たら死体、拳銃とか麻薬でも出てくるんじゃないかと思うよね?
(父親)普通、車を止めて荷台の荷物まで警察が解かせるってなかなかないからな。警察もきっと暇だったんだろう。
それでも、あのお巡りさん一体何だったんでしょうか?地元で大きな事件があったニュースもありませんでしたし、制限速度で走っている車をいきなり停めて「免許証!」はいくら何でも酷いと思いませんか? ただ僕も、免許証をバックに入れず携帯していたらこのような事にはならなかったので、いずれにしても、自分の免許証は常に身から離さず携帯しておくものですね。ご注意を。
コメント