地方都市での学会(恩師・招待講演)
私は大学(工学部)を卒業した後、担当教授の専門分野とは異なる分野の企業に就職しました。大学の研究室の先輩方は、教授の専門分野に関係した企業に就職する人も多かったのですが(その勉強をずっとしてきたのですから当然と言えば当然です)、担当教授はその分野では広く名前が知られていた方でしたので、同じ分野だといつまでも教授の庇護の下に居ると思われるのが嫌だったし、自分が実力が無いのは良く解っておりましたので「あの教授の卒業生でこの程度か・・」と思われる事、そしてその結果として教授に迷惑をかけるのも嫌だったからです(カッコよく言えばですが)。
卒業後は教授とはお目にかかれる機会は減りましたが、それでも大学研究室のOB会でお目にかかった時は気さくにお話させて頂き、年賀状のやり取りも毎年欠かさずさせて頂いておりました。
ある時、私が地方都市の工場で勤務している時です。その町の大学で大きな学会があり、恩師がその学会の招待講演に呼ばれて奥様と私の住んでいる町に来られる事になりました。学生の時、教授の自宅にお呼ばれした事もあり奥様とも面識がありましたので、この機会に、学会が終わった翌日に会社の休みを取って、恩師を奥様と一緒に私の車で近くの景勝地の観光にご案内しました。
ドライブ中の重要会話
当日は雲一つない真っ青な青空。風もなく絶好の観光日和です。また目的地へ行くまでに海岸線を走る道路があるのですが、これがまた左側に海を見ながら真っ直ぐ長く続く新しい道路、平日な事も重なり車はほどんど走っておらず、まるで自分達の専用道路のようで景色を見ながらのドライブは最高でした。後部座席に教授と奥様が座られており、
(奥様)O-Chanうちの娘年頃なんだけれど仕事ばっかりだから誰か紹介出来る良い人いない?
(私)え、先生の娘さんなら私じゃなくても他に声をかける事が出来る人沢山いるでしょう?
(奥様)それが、私が知っている卒業生数人に声をかけたのだけれど皆遠慮するのよね。別に本人じゃなくて候補になりそうな友人を紹介してくれれば良いと言っているのだけれどね。
(私)そりゃそうでしょうね。先生偉すぎるからその娘さんに紹介出来る人となると皆躊躇するのは当たり前だと思いますよ。
(奥様)やっぱりそうなのかしらね・・・。と、恩師が横に座っていながらこのような会話です。
(私)一人、思いつく友人はいます。前に同じ会社に勤めていた後輩だけれど、彼は研究を続けたいからと会社を辞めて大学に入り直し、卒業後は研究機関で仕事をしています。僕の知る限りでは今まで忙しすぎて結婚の話は聞いていないから彼に聞いてみましょうか?もちろん「当人が希望する」、「希望しない」があるから保証はできませんが?
(奥様)そう、お願い出来る? でも皆遠慮するのにどうしてO-Chan直ぐそういう返事できるの?
(私)それは私が先生の分野と今は違う業界で仕事をしているからですよ。もし先生と同じ業界で仕事をしていたら、それは恐れ多くて自分の友人を先生の娘さんに紹介するなんて事、到底出来ません。他の卒業生は大なり小なり皆先生と繋がりがある業界で仕事をされているから、躊躇するのは当然だと思いますよ。
と、自分としては珍しくまともな事を言ったと思っていた時でした。
あ!あ!あ! バックミラーに白バイ! またやってしまった~!! 会話に夢中になりスピードオーバーしていました。
スピード違反検挙
白バイが車の前に停まる。私が警官からスピード違反の切符を切られる。恩師及び奥様の目の前でこの上ない大失態です。折角の観光旅行の出だしに大きな汚点を付けてしまいました。白バイの警官には「恩師が久し振りに訪ねて来られて、その分野ではそれなりに偉い人なのでどうにかできませんか?」と頼み込もうとも思いましたが、それでは却って恩師に迷惑をかける事になるのでここは黙ってひたすら自分の不注意を謝りました。
その後は景勝地を観光し、お二人を夕方ホテルにお送りして私はその足で郵便局へ行って違反金の支払い。この時は別のブログ記事「交通違反の青切符はID代わり?」https://o-chan-dtm.com/blue_ticket/449/ とは違って直ぐに違反金を支払いました。
景勝地ではお二人の写真を自分のデジカメで何枚か撮影したのですが、何故かそのデータが残っておらず、後日お二人には写真を無くした事も含めて改めて深くお詫びしました。
後日、教職についており教授ともかなり懇意にされている研究室の先輩から「お前先生の前で大変な事したようだな」と話を受けました。先生は「O-Chanがこんな事した、あいつは相変わらずだ」と変わらない私の性格を楽しそうに話されていたそうです。
その後・・
ちなみに、奥様からお話を頂いた娘さんの件を友人に伝えたら彼は快諾。彼は私の恩師とは別の業界で仕事をしているし、恩師の事は知らなかったので全く気にしませんでした。奥様にその旨を伝えたらとても喜ばれて娘さんの連絡先を教えて、「最初はO-Chanも仲立ちに入って頂戴」と言われましたが、「私は余計でしょう」とやんわりとお断りをし、友人と娘さん二人で会ったようです。その後、二人で何回か食事をしたようですが、結局その先までは進展しなかったようです。こればっかりは当人達の話ですからこちらではどうしようもありませんね。
でも、愚痴になってしまいますが、「あんな良い道路で、しかも一本道、周りに車もない、そんなところで少しスピードオーバーをしたって事故の危険性極めて少ないじゃないですか・・。何をそれをわざわざ取り締まりしなくても・・」と違反をした私が言える義理ではありませんが、ちょっと思ったりもしました。ただ一方で、恩師と奥様お二人を乗せてスピード違反で捕まった事で、このように笑い話のネタが一つ出来た事もあり、今は恩師と奥様とを含めた良き思い出の一つです。
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